1986年4月26日原発事故直後
ポーランド政府は、子どもを中心に全国民に無機ヨードを服用させた。
事故翌日の4月27日夜には、大気の放射能汚染を確認した政府は、 その80%が放射性ヨウ素と判明するや否や非常事態体制を発動した。
また、
ポーランドの国家原子力発電総局は4月29日、放牧牛から絞った汚染されたミルクを飲むことを禁止するように勧告。
飲むのは加工乳だけとし、3歳以下の幼児には保管してある粉ミルクだけを配給することに。
放射能レベルが5000ベクレル以上ある野菜、肉、魚は食べないこと。
同総局は、16歳以下の子どもには安定ヨウ素を飲むように勧めます。
政府委員会はこの処置を承認すると、4月29日夕には、子どもたちに安定ヨウ素の投与を開始。
事故から4日目の4月30日には、すべての病院、保健所、学校、幼稚園にヨウ素剤を配布、
人口の9割を超える1000万人以上の全国の子どもに薬を投与します。
約1000万人の子どもや未成年者が安定ヨウ素の予防服用したことになる。
安定ヨウ素剤は、甲状腺をヨウ素で満たすことを目的として、 放射性ヨウ素を甲状腺内に取り込めない環境をつくる。
甲状腺が過剰のヨードで満たされていれば、それ以上ヨードを取り込むことはない。
原則として放射性物質の放出前後数時間以内に服用すること。
内服するタイミングは極めて重要。
その結果どうなったのか?
ポーランドでは小児甲状腺がんの増加は見られない。
迅速な対応が功を奏しポーランドでは子どもの甲状腺がんの発症が抑えられた。
当時のポーランド政府の迅速かつ的確な対応が称賛されている。
中には、ヨード(ヨウ素)アレルギーの子どももいるが、 90%以上の子どもに使用しても重い副作用はなかった。
アレルギー体質のこどもは、専門医の指示で対応可能とした。
国の対応によって、雲泥の差がひらいた。
他の地域での放射性ヨードの影響
原発事故において、死の灰を浴びた地域では、小児甲状腺がんが増えた。
放射能汚染による甲状腺障害は、被曝後10年以上を経過してから増加する。
しかし、
事故後、子供たちの甲状腺腫瘍の発生は、思いのほか早かった。
子どもの甲状腺がんは目だって増えており原発事故と因果関係があることがはっきりとわかっている。
91年に原発事故による放射線の健康への影響はないと発表したIAEA(国際原子力機関)ではあるが、 甲状腺疾患の急激な増加を受けて、小児甲状腺がんのみ、その影響を認めざるを得なかった。
甲状腺とは
首の前方にあり、のど仏の下に位置する。
成長ホルモン・体温調節など、身体のホルモン調整をするH型の内分泌器官。
ホルモンはワカメや昆布などの海藻に含まれる「ヨード」から甲状腺細胞の中でつくられる。
そのため、身体に取り込まれた「ヨード」が、甲状腺に集まる。
海藻に含まれる「無機ヨード」には、害がない。
しかし、
甲状腺には「無機ヨード」と「放射性ヨード」を区別することができないために、
有害な「放射性ヨード」も取り込んでしまう。
日本では、ワカメや昆布を摂取する食習慣があるとはいえ、特に子どもの場合、決して予断を許さない。
甲状腺がん
甲状腺がんには「自然発生型」と「放射線誘発型」のふたつがある。
事故によって心配しなければならないのは、「放射線誘発型」である。
甲状腺に「放射性ヨード」が取り込まれる(集積される)と体内で放射線(ベータ線やがんマ線)が放出されつづけ、 局所集中的な内部照射によって細胞の遺伝子が傷つきがん(悪性腫瘍)が誘発される。
この病気は、男子に比べて女子の方がはるかに患者が多い。
また、
子どもの甲状腺は、大人に比べて放射性ヨードをより多く取り込みやすい。
事故後の甲状腺がんの増加率は、当時で10年間に子どもで72倍、大人で3倍。
細胞内の分子・遺伝子レベルでの発がんメカニズムに関する直接的な証明は難しい。
今後もがん発生と被曝量との相関的問題を詳細に追っていかなければならない。
さらに、 体内に摂取された放射性物質は便や尿となって排泄される。
そのため事故後、腎臓が放射能障害を受けやすい。
腎炎が急増している。
また、
セシウムによる高汚染地以外の地域(あまり汚染されていないとみなされていた地域)からも15歳以上の若年齢成人患者が現れている。
事故発生直後の放射性ヨードによる汚染がかなり広範囲に及んでいた可能性がある。
当時、事故直後、一般国民には汚染状況の詳しい情報について何も知らされてなかった。
日本の対応
福島
政府の指示でヨウ素剤を70万人分用意、その後、投与の指示がない。
中には、副作用を指摘する意見もあるが、 このような一刻をあらそう非常事態時に国の指示を待っている。
わたしたちに、できることとは